転職の準備は、変えたいこと・続けたいこと・経験した仕事を短く書き、求人と照らし合わせるところから始められます。 転職する決断や自己分析の完成を待たなくても、情報を集めることはできます。
求人を開いては保存して、どれに応募するか決められない。そんなときは、求人を増やす前に、選ぶときの手がかりを手元に置いてみてください。この記事では、まだ応募先が決まっていない人に向けて、最初のメモから次の行動を決めるまでを説明します。
転職の準備は「変えたいこと」と「残したいこと」から
まず、今の仕事で変えたいことと、次の仕事でも続けたいことを一つずつ書きます。きれいな転職理由にまとめるのは、後でもかまいません。
次は編集部が作った営業企画の記入例です。実在する人の経歴や、転職の成功事例ではありません。
| メモすること | 記入例 |
|---|---|
| 変えたいこと | 月末に集計と会議資料の修正が重なり、予定を立てにくい |
| 続けたいこと | 売上の変化を調べ、営業担当者と改善案を考える仕事 |
| 経験した仕事 | 月次の売上集計、会議資料作成、営業担当者への数値確認 |
「残業を減らしたい」と「今の職種を離れたい」は、同じ希望とは限りません。例のように分けると、仕事内容は近いまま、業務分担や繁忙期の働き方を確かめる探し方もできます。
変えたいことがいくつもある場合は、まず一つに丸を付けます。ほかの希望を捨てるためではなく、求人を読むとき最初に見る条件を決めるためです。情報を集めた後に、優先順位が変わってもかまいません。
一方、異動や業務調整で変えられるかを先に考えたいなら、辞めるか残るかの判断ワークで現職の案も並べられます。求人を調べたこと自体が、退職の約束になるわけではありません。
職務経歴書の前に、実際に担当した仕事を拾う
最初から自己PRを書こうとせず、最近担当した仕事を、作業の名前で書き出します。「調整力があります」より、「誰に何を確認し、何を作ったか」と問い直すと、具体的な作業を拾えます。
たとえば「月次資料を作成」だけなら、次のように分けてみます。
- 何を受け取ったか:各営業担当者からの売上報告。
- 何をしたか:集計し、前月との差が大きい項目を確認した。
- 誰へ渡したか:部門会議の参加者へ、確認結果を添えて提出した。
これは経験を思い出すための例で、そのまま職務経歴書へ写す文章ではありません。自分が担当していない工程や、確認できない成果は足さないでください。数値が思い出せなければ「要確認」として、まず作業と担当範囲を残します。
ここで必要なのは、完成した応募書類ではなく、求人の要件と照合できる材料です。社外秘の資料や顧客情報を私物端末へ移さず、自分の担当業務を説明できる範囲でメモします。
求人は「応募できそうか」だけでなく、確かめたい条件を探す
求人を一件開いたら、仕事内容・応募要件・働き方を、手元のメモと照らし合わせます。最初の一件で応募先を決める必要はありません。
営業企画という職種名が同じでも、記載された業務は求人ごとに確認します。先ほどの例なら、次のような読み方ができます。
| 求人で見る場所 | メモとの照合 | 記載がない場合に聞くこと |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 売上分析や改善提案に関われるか | 集計と企画提案の担当範囲はどこまでか |
| 必須要件 | 自分が担当した仕事で説明できるか | 経験の範囲が要件に合うか |
| 業務体制・働き方 | 月末の集中を変えられそうか | 繁忙期の業務量と分担はどうなっているか |
「残業が少なそう」「雰囲気がよさそう」は、まだ自分の印象です。求人に書かれていることと、自分が期待していることを分けましょう。**書いていない条件は「悪い」ではなく「未確認」**として残します。
年収や勤務地など、生活上譲れない条件があるなら同じメモに加えます。一つの魅力でほかの条件を見落とさないために、次の求人も同じ欄で比べてください。求人を見て初めて、自分が気にしていた点に気づくこともあります。
準備の次は、応募・相談・現職の確認から一つ選ぶ
メモと求人を見比べたら、足りない情報に合わせて次の行動を決めます。すべてを同時に進める必要はありません。
| 今の状態 | 次にすること |
|---|---|
| 興味のある求人があり、経験との接点も説明できる | 応募方法と必要書類を確認し、その求人に合わせて書類を作る |
| 求人は気になるが、経験が要件に合うか分からない | 紹介担当者や指定窓口に、確認したい要件を具体的に伝える |
| 変えたいことはあるが、次の仕事の方向が見えない | 今の仕事と迷っている点をメモして、キャリア相談を検討する |
| 今の職場で変えられる可能性もある | 業務分担や異動について、相談できる相手と確認内容を決める |
求人を探す支援と、働き方の悩みを整理する支援では、相談先の選び方も変わります。転職サービスの比較では求人検索と選考支援、キャリア相談の比較では悩みの整理と継続支援の違いを確認できます。
何から始めるか決めても、時間が取れず止まることはあります。その場合は「転職活動をする」ではなく、「土曜の午前に保存した求人を一件開き、仕事内容と自分の経験を照合する」のように、次の予定へ一つの作業を置いてみてください。できなかったときは、残った作業をさらに小さくするか、別の日へ移します。
転職を始めるときによくある迷い
やりたい仕事が決まっていなくても始めてよい?
始められます。職種名を先に決められないときは、今の仕事で続けたい作業と、変えたい条件から求人を読んでみてください。調べても方向が見えない場合は、結論を出すためではなく、考える材料を増やすために相談する方法もあります。
最初から転職サービスへ登録する必要がある?
最初のメモを作るために登録する必要はありません。求人紹介や書類の助言が必要になったら、受けたい支援からサービスを選べます。登録の数より、何を手伝ってもらいたいかを伝えられることが大切です。
自己分析が終わるまで応募を待つべき?
自己分析に、全員共通の完成形はありません。気になる求人があり、仕事内容と応募条件を確認できたら、その求人向けの書類準備を進める方法があります。ただし、経験や条件を推測で埋めたまま応募するのは避け、確認できていない点を分けておきましょう。
次に求人を開くときは、保存ボタンを押す前に、メモの一行と見比べてください。「この条件は合いそう」「ここは聞かないと分からない」。どちらか一つが書ければ、次に確かめることが見えてきます。
