向いている仕事を探しているのに答えが出ないと、「自分には強みがないのかな」と考えたくなることがあります。ただ、決められないことと、できる仕事がないことは同じではありません。経験を言葉にする材料が足りない場合も、候補の仕事内容が見えていない場合もあります。
この記事では心の中の原因を診断するのではなく、仕事を探す途中で手が止まる場所を整理します。「なぜ自分はこうなのか」より、「何が分かれば次に進めるか」を一つ見つけるための切り分けです。
考えが止まる場所を四つに分ける
次の表は人を分類するものではありません。同じ人でも、仕事の候補によって当てはまる行は変わります。全部を直そうとせず、いま開いているノートや求人画面を思い浮かべて読んでください。
| 止まる場所 | 手元で起きていること | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 自分の経験 | 職歴は書けるが、担当した作業の説明が出てこない | 最近の仕事を一件選び、自分が判断したことを振り返る |
| 候補の仕事内容 | 職種名には興味があるが、一日の作業を想像できない | 実際の業務、関わる相手、仕事の進め方を調べる |
| 比べる基準 | 求人を見るたび、給与や面白さなど注目点が変わる | 候補を同じ項目で並べ、未確認の欄を残す |
| 希望条件の組み合わせ | 興味はあるが、時間や働く場所などが合わない | 守りたい条件と、情報次第で相談できる条件を分ける |
たとえば「企画が向いているか分からない」だけでは、どの行なのか決まりません。企画に必要だと思う作業を知らないのか、自分がしてきた企画業務を説明できないのかで、調べる先が違います。分からない言葉をそのまま原因にせず、一段具体的な質問にします。
経験がないのか、経験を説明できていないのか
肩書だけでは見えない作業を取り出す
営業や事務という肩書だけを並べても、どんな場面で力を出せたかは見えにくいものです。「問い合わせ対応」なら、何を聞き、どこを確認し、相手へどう伝えたのかまで戻ります。その場で自分が工夫したことがあれば、経験を考える材料になります。
一方、作業を思い出せたからといって、すぐに強みと呼ぶ必要はありません。得意だったのか、周囲の助けで進んだのか、繰り返すと負担が大きいのかは、別に確かめることです。「説明できる経験が一つ増えた」ところで止めても十分です。
思い出せないときは、記憶だけに頼らない
職務経歴書の空欄を見続けるより、予定表や自分の作業メモから一件を選ぶほうが取りかかりやすいことがあります。会社の情報は社外へ持ち出さず、個人の振り返りには機密や他人の個人情報を書かないようにします。
- 何を頼まれ、どこまで担当したか。
- 途中で自分が考えたり確認したりしたことは何か。
- 一人ではできず、誰かの助けを借りた部分はどこか。
答えが曖昧な項目は、曖昧なまま残します。実績らしく見せようと結果を足すより、分かっている行動を短く書くほうが、次に質問しやすくなります。記入例が欲しい場合は一件の経験から始めるキャリア棚卸しを使えます。
職種名が増えても、仕事内容が見えていない
なつめは、気になる求人を二つ開きました。どちらも「企画」と書かれていましたが、一方は社内の資料作成や調整、もう一方は社外への提案が目立ちます。同じ名前でも、自分が毎日する作業は違うかもしれません。
そこで「企画職に向いているか」という問いを、「情報を整理する作業と、初めて会う相手への提案を、どんな割合で担当するのか」に書き換えました。求人票に答えがなければ、その欄は未確認です。想像で埋めず、説明会や面談などで確認する質問にします。
厚生労働省のjob tagの利用案内には、職業情報や自己診断を使って仕事を調べる入口があります。診断で出た職業名は候補を知るきっかけであり、特定の会社の業務や自分の適性が確定するわけではありません。検索結果を増やす前に、一つの候補について「実際に何をするか」を確認します。
条件がぶつかるときは、自分への評価と分ける
仕事内容に興味があっても、勤務地や勤務時間が合わないことがあります。この場合、問題は能力の有無ではなく、いま見ている候補と生活条件の組み合わせかもしれません。
「この条件はなぜ必要か」を一つずつ書くと、譲れないものと、具体的な運用が分かれば検討できるものを分けられます。ただし、合う求人が見つからないからといって、守りたい条件をすぐ下げる必要はありません。候補の範囲を広げる、現職で仕事の配分を相談する、いったん判断を保留することも残しておきます。
比べ方そのものが曖昧なら得意・興味・働く条件の違いに戻れます。条件の違いが見えた段階で、転職するかどうかまで一度に決めなくてかまいません。
次に確認することを一問にする
「向いている仕事を見つける」を今日の課題にすると、終わりが見えません。「この求人の調整業務は誰を相手にするのか」「前の仕事で自分が判断したのはどこか」のように、答えを探せる一問に変えます。
自分で調べても材料が出てこない場合は、その一問と分かっていることを相談相手に渡せます。相談では天職の判定を頼むより、経験の見直しや情報の集め方を一緒に考えてもらうほうが目的が伝わります。相談の目的から窓口を選ぶ方法で、話す内容を整理できます。
